事故修理の流れとフレーム修正機による修正作業

車両の入庫、損傷状況の確認

損傷状況から、車体フレームにどの程度まで損傷波及をしているか目視で大まかに見極めます。

「大まかな・・」とは言う物の長年の経験や勘により、ほぼ正確な見極め作業を行います。

外観上の見た目と実際の損傷は大きく異なる場合がありますので、この時点でより正確な診断をする事が、迅速かつ正確にボディーを修復する第一歩となります。

frame01 frame02 frame041

外装部品の取り外し

損傷部品やフレーム修正の際に邪魔になる部品を取り外します。

同時に外装部品のマイナーパーツ類(クリップやグロメット等)の細々とした部品の破損や欠損も確認します。

frame05 frame06

フレーム修正機へのセットアップ

フレーム修正機に車体をセットし、車体寸法を計測、寸法どおりに引き出していきます。まずは荒出し作業となります。損傷フレームごと引き出し、弾性変形を生じた部位に掛かるフレームの応力を抜いてやります。

frame07 frame08 frame09

銀色の大きな塔の様な物が引き出し用タワーです。油圧でフレームを引き出します。車体に掛かる細く青いタワーが寸法計測用機器です。
使用フレーム修正機 モノコックスタンダードシステム

※弾性変形とは

ば ねの様に元に戻る変形。もとの形に戻る性質を弾性といい、もとに戻らなくなる変形を塑性(そせい)変形といいます。簡単に言うと、折れ目のついた変形が塑 性変形で、軽くねじれた変形が弾性変形となります。弾性変形は、その原因となる応力を抜く事で、元の形状へ復元します。

損傷フレームの交換

前述の、弾性変形部位のフレームはフレーム修正機による引き出し作業により、応力を抜く事で元の形状、強度を保ちますが、塑性変形をしてしまった部位はボディーフレームとしての強度を保つことが出来ない為、交換を必要とします。

frame10 frame11 frame12

また、先の作業でキッチリと応力を抜き取る事が出来たフレームは新規の交換フレームを継ぎ足した際にも正確な寸法を表示する事となります。

フレーム各所のスポット溶接及び外装の仮組み

切継ぎ、交換をした部位のフレームをスポット溶接機で溶接していきます。
この際、部位によっては正確なボディー強度を保てるよう、新車時のスポット点数に対し2〜3割程度、増し打ちを行います。

frame13 frame14

フレーム修正において、
ボディー寸法図表を元に、「長さ・高さ・対角」の3次元寸法を限りなく誤差の無い範囲で正確に修正、組み付けなくてはなりません。

body-frame

フレーム寸法の計測基準位置とフレーム寸法を示した、ボディー寸法図表です。

フレームの塗装、機能部品の組み付け

スポット溶接等でフレーム修正が完成すると美観、防錆の為にフレームを塗装します。その後、各機能部品を組み付けてフレーム修正作業は完了となります。

誰でもわかるホイールアライメントの話にも記載させていただいておりますが、正確に修正されたボディーであればこの時点で、ホイールアライメントも調整可能範囲内の誤差でほぼ正常な値を示すこととなります。

frame16 frame17

外板パネル(ボディー)の補修及び塗装

塗装は、
特に職人的性質を求められる作業です。
塗装に関しての技術的内容については、他のボディーショップのHPにも多々記載されていますので、ここでは敢えて説明いたしません。

ただ、自動車塗装において、職人としての長年の経験や勘も大切な部分ではありますが、自動車は伝統工芸品ではありません。当社では国家資格である金属塗装一級技能士資格を保有した職人が経験や勘のみでなく、理論に裏打ちされた技術を御提供しています。

frame18 frame20 frame191

外装の組み付け、完成

塗装終了後,各外板パネル、レンズ、ランプ類を組み付け、各部の機能が正常に作動するかを最終確認します。

frame21 frame22 frame23

足回り及び、その周辺部位にダメージを受けていた車に関しては、機能確認の他、アライメント調整を行いようやく完成となります。