フレーム修正と見積もりについて

事故修理の見積もり作業において、外見上ではちょっとした一部の損傷でも骨格部位(フレーム)に損傷が見受けられる(可能性がある)場合、
現車がないと、メールや写真見積のみではお見積もりが出来ない事には理由があります。

また、現車を持ち込み見積もりをした場合において、見た目と実際の損傷状況{お客様が予想される修理範囲(金額)と実際の修理範囲(見積もり金額)}のギャップが大きく、驚かれる方もいらっしゃいます。
しかし、これにも同様に理由があります。

自動車は複雑な3次元の立体構造物

ですので、一部の損傷が全体に影響を及ぼし、目視で確認できる損傷部位以外にも損傷が波及している事があります。
特に、バンパー等は非常に弾力のある樹脂素材で出来ている為、かなりの衝撃を吸収しても、その弾力により、ある程度形状が復元されてしまいます。
つまり、内部骨格の損傷に対し、外板パーツであるバンパーがある程度復元してしまう為に、見た目の損傷と実際の損傷状況のギャップが大きくなってしまう事となります。

また、外装パネルは勿論ながら、走行性能に関する各機能部品の取付け位置を決定付けるものがフレーム寸法となります。
事故時には、外装部品も取付けられた状態で同様に損傷するため、損傷が小さい場合には、外装部品のみの交換で修理が可能な様に思われがちですが、下図での御説明のとおり、各辺の長さや形状(フレーム寸法)が変わってしまう為に
例え、「安上げ」や「見た目のみ」の要望であっても、車体フレームに損傷がある場合、フレーム修正を行わない外装部品の取り付け作業は基本的に不可能となります。

分かりやすく図で見ると

前述のとおり、自動車は複雑な三次元の立体構造物ですので、実際にはもっと複雑な物となりますが、なぜ、その様な大きなギャップが生じてしまうのか?
なぜ、実際の事故とは関係の無い箇所にまで損傷が及ぶのか?極端な例ではありますが分かり易く、車体を二次元の長方形の箱として説明させて頂きます。

image3

正常な車体は綺麗な長方形として表してみます。

面(正面、側面)の損傷の場合

車体は大きく、また損傷部位にのみ視線が注目しがちとなりますので、目視では下図の様な損傷に見えます。

image

しかし、実際には下の図の様に1つの面が折れ曲がる(直線距離が縮む)事により、その両端の左右側面が中央へ寄せられる様に変形してしまいます。

image1

コーナー(角)部の損傷の場合

上図、面(正面、側面)の損傷の場合と同様に
目視では下図の様に角の一部分のみが損傷している様に見えます。

image2

実際には、コーナーを突き上げる事により、
衝撃入力角度に応じて全体の面が押し出される様に変形します。

image12


上図はあくまでも「面」のみで解説したほんの一例ですが、事故時の諸条件等により、もっと様々な状況が考えられ、骨格部位に損傷を受けた車両は、その部位のみが潰れるだけでなく、衝撃の入力によって衝撃入力側とは反対の、事故とは関係の無い部位が押し出される、又は、引き寄せられる。と言った形で変形をしている場合があります。

フレーム修正の精度について

クルマはある程度の許容誤差を見越して製造 されているため、新車でも誤差と言うものはありますが、幅2m弱、長さ4m前後の大きな車両に対し、車体寸法許容誤差は平均2㎜前後と非常に小さい上、修復時における許容誤差とは、あくまでも「許容できる誤差」である以上、最低ラインの目安であって、誤差の範囲で修復すれば良いと言う意味合いの物ではなく、限りなくゼロに近づける事を必要とします。

一般的に車体(ボディーフレーム)は骨格部位と呼ばれる様に、人に例えると正に骨格に相当します。そこに歪みがあると体調不良や歩行不能等、体の各機能に何らかの障害が出てしまうように、車体(フレーム)の損傷を見落としたり、無視し、見た目のみでの修理をした場合、車体の各部に何らかの無理が生じ、安全性を含めた、車としての機能を発揮する事が出来ません。

フレームの損傷範囲を見極めるために

事故損傷の入力角度や衝撃度を、損傷状況を車両全体にわたって確認検証した上で、どの範囲まで損傷が波及しているのかを予測する必要があります。
よって、外見上ではちょっとした一部の損傷でも骨格部位(フレーム)に損傷が見受けられる(可能性がある)場合、より正確な診断を必要とし、現車がないと見積もりが出来ないと言う事となります。